耳が微かな音を捉えた。 手には竜族に伝わる金剛不壊の聖剣、カラドボルグ。
ほんわか。
かわりに、砕かれた竜鱗も痛々しいエドヴァルトの巨体がゆっくりとこちらへ迫ってくる。 畏怖される為政者と恐怖される悪者、どちらに視点を当てるかで「魔王」って称号が持つ意味は変わってきますが、その点、この作品の魔王「エキドナ」さんは悩みながらも進む指導者としてのヒロインを書ききってます。
3良い感じだ。 あったわ。
そんなわけで、この巻では魔王傘下の四天王のうち女性ふたりとの無防備だったり、天真爛漫だったりするワンショットが読者の目を惹きつけます。 いや、かなり遅れて、ようやく声なき声が聞こえてきた。
主人公最強系ではあるのですが、戦闘シーンが沢山あるわけではなく、職場改善と勇者の生き様と思想がメインなお話しです。
イラストを担当された天野英さんの力量もあってキャラを立てつつ、異性の同僚、思い寄せられる妹分、年の近い(?)悪友、互いに尊敬しつつ心地よい距離感、など、ライトノベルの文法に乗っかりつつ、長い時間を共有した一体感を読者に提供してくれます。