私が立てるか、立てぬかの時分、この長火鉢の抽出しを開けると、油虫が、うじゃうじゃと走り廻っていたのだ。
そして、その中に 「私は 貴下 ( あなた )が好きです」 と、書いてあった。
その内に、そのおかしな私にも、ははあんと、思うことが出来た。 章廿二 四條畷合戦 第二巻• 鑑札が、正面の柱にかかっていたが、それには「古物商」と書いてあった。
14僕の弟も、この湯葉屑の弁当を、随分持たされたらしく見受けるが、僕のせゐであらう。
その年、刊行会を離れ、 鷲尾雨工とともに冬夏社を興すが、半年で倒産。 この打撃は、可成りひどかったらしく、学校が嫌になって、四年の時には、四番目か、五番目へ落ちた。 八百屋、魚屋の類が、凡そ、二三町の間に、連なっていたが、ここで物を買うと、近所の同じ商人で買うより安いから、子供を背負うて買出しに行くのである。
パノール号ロードスターを自家用自動車として所有す。
章十八 瓜生野に腥風すさぶ• 古着は、着物の形のまま売って利のある事もあれば、表と、裏とを離してしまって、別々に売って、利の多い事もある。 十一円五十銭であるが、初めての月給だし私にとっては大金なんだから、嬉しかった。
17章九 六本杉の怪異• 八ヶ月目に、女は、 「もう 袷 ( あはせ )が無いと、いくら何んでも、働けない」 と、云つた。
そして、このままこの恋は終った。
かまふもんか、貧乏が苦しけりや、勉強していゝ物を書くやうになるだらう、と。 矢張り、読み、書くだけであったが、特務曹長は、二年の間の、二度の休暇に、この二つの見せ物を見せて、私に、千日前のある事を教えてくれた。