試し読み｜元彼の遺言状｜新川 帆立｜宝島社
もともと背の低い男だったが、数年ぶりに会っても、やはり当然ながら、背は低かった。 ああいう、わがまま放題だけど憎めない主人公にしたかったんです。
17私自身、まだ理解するには社会経験というか、泥々したものを見ずにきちゃったせいかも。 「ねえ、麗子ちゃん。
「世の中にはもっと金持ちが沢山いるし、私たちなんて全然だよ。
もっとも、うつ病だったことすら知らなかった私のような者が、遺族を責めることなどできないのだけど。 女性も多数登場するが、安易に麗子と対立構造にならないのも従来のエンタメとは違う。
そういうことを考えていた頃、何年も連絡をとっていなかった３つ前の彼が突然〝元気？〟って連絡してきたんです。 僕と栄治は小学校からの仲だ。 「仕事と恋愛って二者択一じゃないですよね。
いつだって、どうしようもなく、腹の底から湧き上がる衝迫に突き動かされている。 私なら十億円くらい、コツコツ働いていれば、手に入れられるのだ。
それが、公序良俗違反による無効だ。 世の中はつらいことも多いが、本の世界にいる数時間だけでも、型破りな主人公と一緒になって、笑ってもらいたい。 しかしその仮面の下で、実はぞっとするほど腹黒い人なのだと分かっている。
14信夫の前の、その前の、もうひとつ前だから、三つ前の彼ということになるだろうか。 「誤解しないでよ。
特に頑張ってる女性に読んでほしいですね」 麗子と働く女性としてのご自分が重なることはあるのだろうか。 その内容が、一度聞いただけでは自分の耳を疑ってしまうほど、誠に不可思議なものだった。 読んでくれた人が元気になって、また明日も働こうっていうふうに思ってもらえたらいいなと思っています。
さっきも、じゅうぶん元気でしたけど（笑）』 津々井先生のことを思い出すと、腹の底からムカつきが込み上げてきた。
「雅俊さんから、いつもお話を伺って、すごい人だなあと思っていたんです」 そう言う優佳の小さい目の中で真っ黒な瞳がきらりと輝いた。
12「ねえ、あなた、リサーチャーなのよね。 巨額の遺産相続を巡る事件• どうにかならないでしょうか？ 無職・21歳 お母様の気持ちを考えると対応の難しさがあるだろうけど、まずは自分のことを大事にしてね。
『このミステリーがすごい！』大賞は、ミステリー＆エンターテインメント作家・作品の発掘・育成を目的に、2002年に創設した新人賞。
2新川さんの「このミステリーがすごい！」大賞受賞作にしてデビュー作の主人公である。 「あれっ、剣持先生！ 今日は記念日デートでしたよね」 口いっぱいに麺を頬張りながら、古川が言った。
「だいたいね、こう言っちゃなんですけど。 それからぼんやりと、一時間ほど待ってみたけれど、一向に返信は来なかった。
17お父さんは家にお金を運んできていただけじゃない」 私と父は、互いに、睨み合った。
ところが、僕の父は花を出さないばかりか、葬式にも行かないし、今後森川家との付き合いを控えるようにと言って寄こした。
茨城って、田舎と思うかもしれませんが、宮崎の人からすると、日帰りで東京に行けるから、ほぼ東京です（笑）。 そのせいで帰りの電車賃が払えなくなって、私が千円札を恵んでやったことがある。